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トータルライフコンサルタント 相続診断士

2009年12月3日木曜日

タバコ税問答(未)

経済学的には、人間は全て合理的であるという大前提が成り立っている。
ではその合理的なはずの人間がどうして中毒に陥ってしまうのか?
本投稿ではその謎を行動経済学によって解明する。


まず紹介しておくべき理論がある。

「合理的中毒理論」
(A Theory of Pational Addiction 1988 by Becker & Marphy)

合理的な人が中毒になることを説明する。
"中毒=通常の効用関数+習慣形成"
"中毒:ある財の現在の消費を増やすと、将来の消費が増えること"と定義できる。
効用は現在の消費だけでなく、過去の消費にも依存する。

例:フランス料理を食べる→明日も食べたい…習慣形成
            →しばらくいらない…耐久消費財

習慣形成においては、過去の消費の増加は現在の消費の限界効用を大きくする。
実はこれが「習慣形成」になるための必要条件であり、
必要十分条件は「近接補完」である。
(意味は、字の通り。割引率、過去の消費の限界効用逓減)


これから得られるインプリケーション
・規制は望ましくない。中毒は、本人にとっての最適選択
           ↓
実際は、前提が満たされていないのではないか?

前提1:中毒になった行く末を本当に正しく理解しているのか?
   ⇒実態の宣伝が重要(今必死にやっているところ)

前提2:中毒症状で他人に迷惑をかけないのか?

前提3:ひょっとして人間は「合理的ではない」のではないか?(おや?)
   自制心がない・つい、やってしまった・2人の自分がいる?


「合理的中毒理論」では「双曲曲線」を用いて説明している。
・近い将来の割引率が高い…我慢できない
・遠い将来の割引率が低い…我慢できる
       ↓
「1ヶ月後にはやめよう」→やめられず

この結果、今タバコ税を上げると
タバコの本数が減る→自分でできなかった禁煙を外から手助けしてもらう

→幸せ

"Do Cigarette Taxes Make Smokers Happier"(2005)
Advances in Economic Analysis & Policy

続く

燃やせバビロン

さて前回の続きになりますが、同系の(同型の)商品が増えてきた場合、「消費者の選ぶ基準」が必要になってきます。
より多い消費者を惹きつけるための方法というのはいっぱいありますが、下品な広告を打つことのほかになされているのが「ブランディング」です。

「ブランド」と聞いて思い浮かべるのは高価なバッグだったり時計だったり、好きなブランドをお持ちの方も多いと思います。旧ブランド社会というのはこうした「第一想起知名率」重視のものでした。そしてそのための広告を数多く打ちました。「名前を覚えて貰うだけで十分」というもの。しかし新しいブランド社会には心理学が必要だと言われています。


ダイアン・コイル「脱物質化社会」著書の中で彼は「物的財の支配」からの脱却を説いています。
今のように経験・知識が生きる社会の中では、物的側面より心理的な部分に訴求するマーケティングを重視すべきということだそうです。
「ブランドとは、パブロフの犬における餌のようなもの」

○エイブラハム・マズロー
人間の欲求は3段階のピラミッド型に構築されている。
もっとも低次元の欲求は、生理的な欲求、次に安全、帰属、愛情への欲求、最後に自己実現、精神的充足への欲求である。
自己実現は、自己という存在の外にある主義主張への帰属である。
ブランドはより高い次元の欲求を充足させるべきであろうというもの。

 例:ハーレー・ダビッドソン
  逃避への欲求、本物の希求、反抗、仲間との連帯の象徴

  :ボルボ
  安全

  :コダック
  愛情・帰属
  
  :BMW・モンブラン
  尊重

まあ調べてみるといっぱいあるのですが、ブランドを第一想起知名率重視で選んできた消費者が果たしてどこまでこのブランド側の意向を汲んで消費しているかははなはだ疑問です。

日本人は世界でブランド消費額圧倒的第一位という名誉とも不名誉とも不名誉ともとれる称号を持っていますが、それと同時に細かい細工に魂を込め続けた伝統的文化も数々ある。
非常に矛盾しているとも取れる民族なのです。

僕はブランドを求める気持ちというのは海外モノへの劣等感(外人のような顔がかっこよく見える精神的状況)だと思っているのでこれはもはや江戸の開国までさかのぼる問題かと思っているのですが、
もう一つ、「ウチのもの」と「ソトのもの」をはっきりと分けているんでしょうね。


消費ブームを引きずっているのかと錯覚させられるような今日ですが、中国人の1人当たりGDPが今後も上昇し、今の日本人のポジションに取って代わることが容易に想像できますので、これを期にもう一度「ウチのもの」に目を向けてみてはどうでしょうか。



内需の少ない空虚な経済がどうなるか、ドバイがしっかり説明してますしね。


(参考文献:『なぜみんなスターバックスに行きたがるのか?』 by スコット・ベドベリ)