経済学的には、人間は全て合理的であるという大前提が成り立っている。
ではその合理的なはずの人間がどうして中毒に陥ってしまうのか?
本投稿ではその謎を行動経済学によって解明する。
まず紹介しておくべき理論がある。
「合理的中毒理論」
(A Theory of Pational Addiction 1988 by Becker & Marphy)
合理的な人が中毒になることを説明する。
"中毒=通常の効用関数+習慣形成"
"中毒:ある財の現在の消費を増やすと、将来の消費が増えること"と定義できる。
効用は現在の消費だけでなく、過去の消費にも依存する。
例:フランス料理を食べる→明日も食べたい…習慣形成
→しばらくいらない…耐久消費財
習慣形成においては、過去の消費の増加は現在の消費の限界効用を大きくする。
実はこれが「習慣形成」になるための必要条件であり、
必要十分条件は「近接補完」である。
(意味は、字の通り。割引率、過去の消費の限界効用逓減)
これから得られるインプリケーション
・規制は望ましくない。中毒は、本人にとっての最適選択
↓
実際は、前提が満たされていないのではないか?
前提1:中毒になった行く末を本当に正しく理解しているのか?
⇒実態の宣伝が重要(今必死にやっているところ)
前提2:中毒症状で他人に迷惑をかけないのか?
前提3:ひょっとして人間は「合理的ではない」のではないか?(おや?)
自制心がない・つい、やってしまった・2人の自分がいる?
「合理的中毒理論」では「双曲曲線」を用いて説明している。
・近い将来の割引率が高い…我慢できない
・遠い将来の割引率が低い…我慢できる
↓
「1ヶ月後にはやめよう」→やめられず
この結果、今タバコ税を上げると
タバコの本数が減る→自分でできなかった禁煙を外から手助けしてもらう
→幸せ
"Do Cigarette Taxes Make Smokers Happier"(2005)
Advances in Economic Analysis & Policy
続く
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