I’M HERE

自分の写真
トータルライフコンサルタント 相続診断士

2010年12月27日月曜日

文化不況の一例

2010年のシングル売り上げベスト10が発表され、AKB48と嵐が独占した、というニュースがあった。

よく言われているような、作り手のクオリティが低下しただの、日本人の頭が溶けてそういう稚拙に(少なくともそう見える)音楽しか聴けなくなってきているとか、全部が全部そこに原因を求める風潮があるが、それはどうも怪しい。

長引く不況で30~50代の財布の紐が固くなり、遊興費等が抑えられた結果、音楽は売れなくなった。
かたや20代までの出費はと言うと、アルバイトや小遣いに頼るところがあるから、不況は関係なく、必然他の年代に比べて可処分所得が多く残る。

さらに事を大きくしているのが、日本人の子供は世界一小遣いが多く、さらにマネーリテラシーがすこぶる低いため、何も考えずにどんどん金が出て行く。K-POPなどというジャンルの流入に歯止めがかからないことの説明が、これでつく。要は、日本人はいいカモにされているということだ。現在K-POPはキャズムに陥っている節があるが、本流は来年以降だろう。

以上を踏まえると、クオリティとか耳の善し悪しの問題ではなく、“売れるから作る”という極めて合理的な経済行動がなされているだけで、さらに昔のように音楽に求めるものが変わってきたというのもあるかもしれない。少なくとも今出ている音楽を聴いていると、現在深刻な不況に陥っているとか、暗い未来しか予想できないことは想像できない。そしてこの『明るい今しか想像できない楽曲』が不況のために流行しているという皮肉な現実。この半現実逃避的な曲を聴いて育ち、社会に出てきりっと頭を不況モードに切り替えられるようなできた人間ばかりではない。


売り上げ数=流行と『音楽シーン』を全く分けて考えた方がいいかもしれない。
例えば有線なんかでは、『トイレの神様』なんて曲が上位に来ており(個人的にはテレビ番組等で過剰人気感)、今年の月間ランキングではどの月をみてもせいぜいAKB48の曲が1つランクインしているだけで、全く売れ筋とは別の様相を呈している。僕が音楽制作者は土下座してでも共有ソフトを使わせて貰いに来いというのはこれが理由だ。ファイルをフリーにしといてでも名前の知れたい歌手がいるのだ。

作り手にとっても聴き手にとっても、名を知らないというのは不幸だ。
繰り返すが音楽が売れなくなるからフリーソフトは認めないというのは、新たな消費の機会も、イノベーションへの意欲も失っていることになる。

0 件のコメント: