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トータルライフコンサルタント 相続診断士

2010年1月27日水曜日

サブプライム問題を1500字で表す

 サブプライムローンは、米国においてクレジットスコアの優良でないと判断された顧客に対して提供されるサービスで、アフリカからの移民の多い米国で銀行口座を持てない人が多いことなどを背景に設定された。当然、債務履行の信用度は低くなる。しかし当時の住宅価格上昇が、債務不履行の危険性をわかりにくいものとしていた。本来債務不履行のリスクは通常の住宅ローンよりも高く設定されるが、住宅資産価格が上昇していれば担保余力が拡大するので、新たな借り入れを行えるからである。ローンを組めない人が組むことでさらに信用は低下しようものだが、米国政府が証券格付け機関と政治的に結託し高評価を与えていたことで危険性はかき消され、住宅ブームは加速した。
 住宅バブルの続く間、信用の低いサブプライムローンは証券会社によって転売されていき、新たな差益を生みだしていった。彼らにしてみれば、いずれは破綻するシステムだから転売してしまったほうがいいと判断したわけだが、顧客獲得は行われ続けた。彼らの間ではすでにモラルハザードが起こっており、クレジットヒストリーのない顧客や、本来はプライムと評価される顧客に偽りの評価基準を見せ、強制的にサブプライムローンに加入させるという例も見受けられるようになった。こうなると顧客の方にもモラルハザードが起こりうる。債務不履行が目立ち始め、同時に住宅バブルが囁かれるようになった。住宅価格上昇神話が崩れたのである。
 米国政府は「略奪的貸付」と呼ばれる回収を始め、低所得者は過重な手数料を求められたり、結局返済できずに物件を差し押さえられたりといった問題が生まれた。2006年に住宅価格の上昇が急速に鈍化すると、延滞率は目立って上昇し、今度は融資専門会社に対する融資に金融機関が慎重になり、専門会社の中には資金繰りが悪化して経営破綻する例が出始める。これに伴い大手金融機関では貸倒引当金を増やさざるを得ず、利益を圧迫した。サブプライムローンは危険度を分散させるために貸付債権として証券化・分割され、複数の金融商品の構成要素の一つとして組み込まれ、さらに世界中の金融機関が扱いだしていたため、その被害は極めてグローバルなものとなった。

 以上の問題の背景には、あくまで債権者側が従来見積もっていたような債務不履行確率およびそれに基づく貸付金利の設定以上に実際の債務不履行が発生してしまったことがあげられ、そのようなことは他のどの経済取引においても起こりうることである。今回の場合、米国は上昇を続ける住宅価格に裏打ちされた住宅バブルを過信し、また新たな金融市場の開拓に熱を上げすぎてしまったことが原因である。米国人にとって住宅取得はアメリカンドリームの大きな一要素であり、その点がさらにサブプライムローンを生みだした人間の目を曇らせてしまったのかもしれない。
 また現代市場経済は、上で述べたとおり極めてグローバルになっており、わが日本でも株価が大きく値を落としたのは記憶に新しい。2000年にITバブルが崩壊して以来金融危機が続いているが、様々な国の出来事がまたグローバルに影響を与え続けている限り危機からの脱却は難しい。日本では輸出が回復しつつあるという報道も一部あるが、トヨタの高級車などは中国ではなく米国の富裕層の消費が戻ってこないと立ち直れないし、本質的な景気回復にはやはり米国の経済が立ち直りが不可欠なのである。特に日本では内需が少ないと嘆かれて久しい。日本の景気が立ち直る時、常に輸出が伸びている(貿易収支向上)。その点で現代市場経済が我が国に与える影響は大きい。

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