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2009年1月28日水曜日

「甘えの構造」要約 序文~1章

「甘え」は甘える本人が相手の好意をわかっている場合に存在し、またその本人は自分が甘えていることに対して無自覚であることも多い

「甘え」という概念が土居氏(著者)によって明文化されたのはおよそ30年前であり、その際「甘え」の定義に含まれなかった「甘ったれ」「甘やかし」等が現在では顕在化してきている。しかしこれらの新しい概念は、行動の主体が無自覚という点で従来の「甘え」の定義とは根本的に異なる。

新しい甘えは現在の家庭問題やいじめといった社会問題を端的に象徴しているが、少なくとも昭和一桁のころは子供には家庭という逃げ道があったため、それらを苦に自殺するような者はいなかった。また学校の権威も通用していた



相手の好意に気づいて甘える(以下「甘える」)は日本語独特の概念であって、「Help yourself」主義の海外には見られない。「甘え」だけでなく、それに派生する語(すねる、ひがむ、こだわる、すまない)等も同様である。またこの日本独自の概念は、国語によってのみ理解され、外国語で行うどの心理学上のテストにもその微妙な心情は一切投影されない。

したがって神経学者の森田正馬氏によって考案された森田学説http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%AE%E7%94%B0%E7%99%82%E6%B3%95)は、日本独自のものである。

「甘え」に対抗する言葉として、「自分がある」という言葉を当てることができる。「自分がない」人は甘えによって引きずられる。

「甘え」の感情はおそらく精神分析理論上のエディプス複合期(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%97%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9)以前に形成される。よってその後の精神発達に大きな影響を及ぼすものと考えられる。フロイトもこの点を記載してはいるが、ナルチスムス(うぬぼれ,自己陶酔,自己愛.自分の容姿に性的興奮をおぼえる状態)の導入後、確たる定義はなされていない。これは欧米語にこれに相当する概念(言語)が存在しないことが理由と考えられる。

日本における「甘え」は第二次世界大戦後、表面化してきたと考えられる。これは敗戦による天皇制と家族制度の撤廃が、個人の確立に結びつかず、精神的社会的に混乱をきたしたからである

アメリカでは「甘え」概念に対する想像が貧弱であることから、精神科の患者に対して恐ろしく鈍感である。この理由のひとつとして、17世紀に「神は自らを助ける者を助く」という言葉がポピュラーになったことが挙げられる。

日本人の甘えの起源は義理人情からきている。天皇制は、これを踏まえて精神的支柱を階級を超えて設置したという意味で、近代化への大きな試みであった。



以下雑記

社会問題と甘え
天皇制の意義

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